13.

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一番隊組長、という事実はまだ出てこないが、凄腕剣士であり、美人というのは間違いない。 現に、先ほどの怒り姿は所謂“萌え”に入るだろう。 藤堂のように色白で、背はそれなりに高い。 だがしかし、そんな彼は、史実では結核によってその短い生涯を終えるらしい。 ──陽菜は、そんな彼の病気を治したいんだよね。……でも。 私はもう一度、背後の沖田を一瞥した。 彼は私の視線に気が付くと、にっこりと、天使のような微笑みを返してきた。 ──この笑顔が、devilに見える。 屯所へやって来てから、改めて解ったことが一つ。 それは、沖田がいたずらっ子だということだ。 天使のような笑顔の裏には、人を欺き、意地悪、悪戯をしようとする悪魔の微笑が隠れていた。 いつも土方を怒らせては、なぜか私を巻き添えにして走り回る。 そんな彼の姿を見て、彼が病気で死ぬなどというイメージがつかない。 「朔君。ちょっと、朔君!なにを考えているんですか?」 「いや、土方さんをどう鎮めようかなって」 「───でしたら、この歌を詠ってください。きっと、土方さんもすぐに鎮まりますから」 この時、なぜ沖田の言うことに素直に従ったのか。 なぜ彼の口元が怪しく歪んでいることに気がつかなかったのか。 それとも、そこまで彼の性根が腐っているとは思っていなかったのだろうか。 私は目前に迫る鬼を見据えつつ、耳元で囁かれる、魔法という名にはほど遠い、地獄への旋律を覚えていた。 「覚悟はいいか?総司、銀髪」
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