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それは突然のことだった。
「……は?Pardon……もう一回言って」
「お前は今日付けで芹沢の小姓だ」
「…………What?もう一回言って」
「お前は今日付けで芹沢の小姓だ」
「………………は?もう一回」
「てめぇ、何回言わすんだ!!」
目の前の土方は、ちゃぶ台(もちろんそんなもの置いてないが)をひっくり返しそうな勢いで怒鳴った。
背後にいる沖田は、その様子に腹を抱えて笑い、私は一人呆然としていた。
いや、土方をそうさせたのは私だが、彼の口から発せられた言葉の意味が理解できなかった。
否、理解したくなかった。
「あはははは。あ~、面白かったです。それで?なぜ突然朔君が芹沢さんの小姓に?」
「芹沢がそう言ってきたんだよ。あの異人紛いを小姓にするって」
「名も覚えてない人を小姓にするんですね。ですが、どうしてですかね?」
「知らねえよ。本人に訊け」
私の思考が戻るまでの間に、二人の中で話は終えていた。
ようやく現実を受け止めて土方を見れば、相変わらず眉間にしわが寄っていて、不機嫌そうだった。
芹沢の思考が読めないことに苛立っているようだ。
「あんたに医師以外の仕事をさせろとは言ったけど、それは嫌だ」
「俺だって、てめぇを歩き回らせるような仕事を任せたくはねぇ。だが、筆頭局長の命令なんだよ」
「筆頭局長……?あいつは近藤局長と同じで、局長じゃないのか?」
「ああ、局長だ。だが、芹沢は筆頭──局長の中で一番位が高い、組の大将なんだよ」
「つまり、壬生浪士組で一番偉いってこと?」
「そうだ。そして、これはその筆頭局長からの命令なんだよ」
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