14.

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それは突然のことだった。 「……は?Pardon……もう一回言って」 「お前は今日付けで芹沢の小姓だ」 「…………What?もう一回言って」 「お前は今日付けで芹沢の小姓だ」 「………………は?もう一回」 「てめぇ、何回言わすんだ!!」 目の前の土方は、ちゃぶ台(もちろんそんなもの置いてないが)をひっくり返しそうな勢いで怒鳴った。 背後にいる沖田は、その様子に腹を抱えて笑い、私は一人呆然としていた。 いや、土方をそうさせたのは私だが、彼の口から発せられた言葉の意味が理解できなかった。 否、理解したくなかった。 「あはははは。あ~、面白かったです。それで?なぜ突然朔君が芹沢さんの小姓に?」 「芹沢がそう言ってきたんだよ。あの異人紛いを小姓にするって」 「名も覚えてない人を小姓にするんですね。ですが、どうしてですかね?」 「知らねえよ。本人に訊け」 私の思考が戻るまでの間に、二人の中で話は終えていた。 ようやく現実を受け止めて土方を見れば、相変わらず眉間にしわが寄っていて、不機嫌そうだった。 芹沢の思考が読めないことに苛立っているようだ。 「あんたに医師以外の仕事をさせろとは言ったけど、それは嫌だ」 「俺だって、てめぇを歩き回らせるような仕事を任せたくはねぇ。だが、筆頭局長の命令なんだよ」 「筆頭局長……?あいつは近藤局長と同じで、局長じゃないのか?」 「ああ、局長だ。だが、芹沢は筆頭──局長の中で一番位が高い、組の大将なんだよ」 「つまり、壬生浪士組で一番偉いってこと?」 「そうだ。そして、これはその筆頭局長からの命令なんだよ」
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