14.

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「組の大将でも、そんな独断で決めれるのか?あんたは嫌なんだろ。だったら反論すればいいじゃんか」 「だめですよ、朔君。土方さんをいじめちゃ。土方さんはこう見えて小心者なんですから」 「誰が小心者だと、総司。邪魔すんなら出てけ」 「わかりましたよ、静かにしてます。それで、土方さんは反論したんですか?」 「あたりめぇだろ。それらしい理由付けて止めろと言った」 「で?」 「気に入ったから小姓にする、の一点張りだ。それに、筆頭局長の命令は簡単に無視できねぇんだよ」 土方はより一層眉間のしわを深くした。 その時のことを思い出したのか、瞳が鋭くなっている。 人一人殺せそうだ。 ──縦社会って、面倒だな。 実力主義の世界でしか生きてきたことがないので、どうにも縦社会を理解できない。 実力主義と言っても、結局は親の七光りであるのだが。 私も前の世界でのことを思い出し、顔をしかめた。 すると、不思議そうに沖田が横から覗き込んできた。 「どうされました、朔君。土方さんみたいなしわが寄ってますよ」 「いや、なんでもない」 意識しているのかいないのか、その美しい顔が妙に近く、私は彼と距離を空けるようにして少し横にずれた。 沖田はそのまま私の隣に居座り、いまだにこちらを見てくる。 「なんだよ」 「いえ、芹沢さんはいったいどこを気に入ったのかなと思いまして」 「そんなの本人に訊きなよ。オレだって……」
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