14.

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「沖田、貴様の役目はすでに終わっているはずだ。さっさと前川邸へ戻れ」 「お茶を出してくださった方のご好意を、無駄にしないようにと思っていたのですが……それもさせてくれないんですか、新見さん?」 「貴様はそんな気の利く男じゃないだろ。なにが目的だ」 「酷い言われようですね。ですが……お言葉に甘えて訊きます。朔君のどこを気に入られたんですか、芹沢さん」 沖田は新見から芹沢に視線を移した。 芹沢はその質問が来るとわかっていたのか、手にしていた湯飲みを静かに置き、落ち着いた面持ちでただ一言、答えた。 「貴様に関係ないだろう」 「……それもそうですね。それでは、僕は失礼します」 沖田はお茶を飲み干すことなく、すっと立ち上がると私を見下ろしてきた。 その目はいつもと違って冷たく、ただ少し、なにかに納得したようだった。 首を傾げればいつもの笑顔の彼に戻り、沖田はそのまま襖へ向かった。 「沖田、土方に一つ伝言だ。条件は守る。ただ、時間を制約しなかったのは間違いだな、と」 「それは…………どういう意味ですか」 「小さい奴は女子の代わりになる……と言えば、通じるか?」 にやりと妖しく口を歪めた芹沢の発言に、皆が首を傾げた。 その謎々にいち早く答えを出したのは新見で、彼は信じられない、といった表情で芹沢を見た。 しかしなにかを悟ったのか、呆れたため息をつくだけでなにも言わなかった。 私はそんな彼の様子を見ていたがなにも解らず、次に沖田を見てみた。 彼もいまだに理解していなかったが、私を見据えて数秒後、顔はかあっと赤くなり、キッと芹沢を睨みつけた。 その反応に、芹沢は愉快そうに笑った。
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