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「芹沢さん、あなたという人は!!」
「冗談だ。わしは男になぞ興味ない。しかし……初々しい反応だな、沖田。早く大人になれ」
「僕はもう立派な大人です!!失礼します!!」
あんなに慌てた沖田は見たことがなかった。
彼は誰とも目を合わせず、地面に向かってそう吐き捨てると勢いよく芹沢の部屋から出ていった。
襖はスパンッと、鼓膜を異常に震わせて閉まり、室内は再び静寂となった。
「あのさ、オレを男色にしないでくれる?」
「ほお、ようやく解ったのか」
「あんたの最後の一言でね」
「沖田よりも、貴様の方がまだ餓鬼のようだな」
「オレは沖田さんと同い年だ」
膨れっ面でそう言い返せば、芹沢の笑っていた顔は固まった。
背後の新見も、啜っていたお茶が変なところに入ったようで、激しく噎せていた。
私はその反応に少し頭に来たが、なんとか冷静でいるよう努めた。
「貴様、沖田と同じ歳なのか?」
「はい、そうだ」
「雷光のところの娘と同じ歳だと思っていた」
「だが芹沢さん、沖田と同じなら野口と同じだ」
「……ああ、野口と同じ種類か。そうだ新見、皆を集めろ」
妙に納得した芹沢は、同じく妙に納得した新見に向かって言った。
新見はそれに返答することはなく、ただ静かに部屋を出ていった。
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