4.

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私はその豪華さに数回、目を瞬かせた。 品のある女だとは思っていたが、このような家の娘だっとは……想像もしていなかった。 店の前で惚けていると、鈴が私の着物の袖を引っ張ってきた。 視線を鈴に移すと、彼女は「今はお客様の出入りが多いので、裏口から入りましょう」と言って、袖を掴んだまま歩きだした。 私はそれに引っ張られてついていった。 店のすぐ近くには川が流れており、橋がかかっていた。 川に面して少し進み、狭い道へと入った。 店の前の通りとは対照的に、静寂が辺りを包んでいた。 鈴は店の裏口から中に入ると、歩みを止めていた私を手招きした。 「お父様に空いているお部屋があるか聞いてまいりますので、少々こちらでお待ちください」 鈴はそう言うと店の中へ消えた。 私は一度辺りを見渡してから段差に腰かけると、両手を板張りの床につき、天井を仰いで目を閉じた。 私が居るこの場はすごく静かだが、奥の方では料理を作る音、人の声で溢れていた。 そうしていると、こちらに向かってくる足音が一つあった。 この時の私は何を思ったのか、その足音が鈴のものであると決めつけ、気にせずにそのままの体勢を保った。 しかし、足音は私の近くで止まると悲鳴を上げた。 さすがに私は目を開けて振り向き、その人物を確認した。 足音の主は鈴ではなかった。 紺色の着物の袖を捲り上げ、紐で結んでいる格好をした女がそこにはいて、私を指差しながら口をパクパクしていた。 そしてーーー。 「盗人ーーーーー!!」
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