4.

23/24
3488人が本棚に入れています
本棚に追加
/782ページ
『神からの特別な贈り物……。……そうかも、しれませんね』 『だから、君はただ、君らしくいればいい。わかったかな?』 『はい。ありがとうございます』 『それじゃ、まずは……琴を起こして着物を用意させるか』 『あ、雷光さ……旦那様』 『雷光さんでいいよ』 『では、雷光さん。オレは女ですが……男として、居させてはもらえませんか?』 『それは、なにか理由があるのかい?』 『はい。男として生きることで……オレにできることがあるんです』 『それなら、君を男の使用人として迎えよう、朔』 『ありがとうございます。着物は、これを使わせていただけたらありがたいのですが……良いですか?』 『構わないよ。朔が女だということは、鈴には私から伝えようか?』 『いえ、オレから言います』 ……ーーーーー 私は一人、先ほどの雷光との会話を思い出していた。 腹を抱えて笑っていた私が突然空を見上げてぼーっとしているのを心配したのか、鈴は私の着物の袖を引っ張ってきた。 私はそれで我に返り、鈴に微笑んだ。 「どうかした?」 「……いえ。朔様は、なぜいまだに男装をされていらっしゃるのですか? 私のお着物をお貸し致しますのに」 「ああ、こっちの方が身軽でいいし、……あんたも、こっちのオレを見てたいだろ?」 「そ、そんな!」 「冗談だ。ほら、鈴お嬢様。水撒きのお仕事がまだ終わっていませんよ」 「朔様!!」 「オレはもうこの店の奉公人なんだ。朔って呼び捨てでいいよ」 「でしたら、私のことも鈴とお呼びください。朔にお嬢様と言われると、なぜだか寒気がいたします」 「うわっ、突然キャラチェンジかよ」
/782ページ

最初のコメントを投稿しよう!