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「よお。今日は俺らの方に来たんだな」
「おはよう、原田さん。俺らって……もしかして、いつもの───」
そう確かめていると、広間の入口でがたがたっ、と派手な音がした。
言葉を途中で切り、そちらへ目をやれば、案の定というか障子の影から恐る恐る顔を出す藤堂の姿があった。
「原田さん、藤堂さんの席は?」
「お前の左隣」
この席順はわざとなのか?! と私を案内した隊士らを見れば、彼らは入口でまだ愚図っている藤堂をどうにかして中へ入れさせようと奮闘していた。
お節介な奴らだ、と思いつつも、彼らなりに藤堂を想ってのことだろうと感じる。
「藤堂さん、ここ座るかな?」
「あいつはそこまで弱くねぇよ。まあ、気長にお前に慣れさせていくしかないけどな」
だから、珍獣扱いは止めてくれ、と心の中でツッコんでおき、隊士に背を押されてやって来る藤堂を直視しないよう努めた。
そして隊士がほぼ揃ったところで、焦ってやって来た風には決して見えない永倉にため息をつきかけ、これが幹部なのだから仕方ない、と左の藤堂も視界に入れつつ、ついに息を吐いた。
「ため息つくと、幸せが逃げるぞ?」
「あんたが吐く幸せを取り込むから平気」
「やべぇ、それじゃあ息が吐けねぇ」
「だったら新八も、誰かの幸せを取り込めばいいんじゃねぇか?」
「他人の幸せを奪ってまで、俺は幸せになろうとは思わねぇ!」
「新八、お前……………………何かっこいいこと言ってんだよ。感動しちまったじゃねぇか」
「惚れてもいいんだぜ?」
「……………………ねえ、これ何時収拾つくの?」
「そ、そろそろ近藤さんたちも来るだろうから、待ってればその内終わるよ」
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