23ー(2).

5/16
前へ
/782ページ
次へ
未だにコントを繰り広げる永倉と原田に耐えきれず、ついに藤堂に訊ねてみた。 視界の隅で肩が小さく震えていたが、声音は思っていたよりしっかりとしていた。 やはり直視しなければマシなようだ。 すると藤堂が言っていた通り、近藤が広間に現れた。 和んでいた空気が一瞬にしてキリッとしたものに変わり、そして少し弛んだ。 「あれ、土方さんと山南さんがいねぇな」 不思議そうに呟く永倉の声が聞こえたのと同時に、近藤が朝の挨拶をした。 誰も二人の副長がいないことについてはツッコまない。 日常的にあることなのだろう。 「それじゃあ、食物に感謝をして、いただきます」 皆が手を合わせ、しっかりといただきますを言ってから食べ始めた。 微かに食器と箸のぶつかる音が響き、話し声は騒がしいまではいかないが聞こえている。 永倉も原田も想像より静かに食しているが、他と比べたらやはり煩い。 それに、度々こちらへ箸をのばしてくる永倉を牽制するため、落ち着いてはいられなかった。 五分ほど経った頃から、食事を終えた隊士が広間を退室し始めた。 なぜそんなにも早いんだ?! といつものように驚いていれば、右隣と真向かいの二人も席を立った。 「じゃーな、朔」 「残さず食べろよ」 そう言い残して去る二人の姿に多少焦ってしまったが、左隣を見て安心した。 量は私より多いものの、ペースはそこまで早くない。 ──なんか、居残り仲間みたい。 給食の時間を終え、昼休みに入っても食べきるまで席から離れられない学生気分で、そのままのんびりと箸を進めた。
/782ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3492人が本棚に入れています
本棚に追加