居場所作り

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―――翌日 僕は家から飛び出した。 嫌なんだ。 父さんの顔を見るのが。 声を聞くのが。 壊れるのが。 一心不乱に走る。 この世に居る限り, 存在する限り, 「逃げ場」 など無いのは知っているのに。 ただ自分の居場所が欲しくて, 自分を心配してほしくて, ―――父さんを困らせたくて。 僕は足を動かし続ける。 ――――その突如。 世界が歪んだ。 足が着かない。 何故? 前は見えるのに 前に進めない。 壁がないのに 前に進めない。 全てがスローモーションなのだ。 僕は悟った。 車に轢かれたのだと。
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