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「この電車は普通ではないんだよ。
この車両に乗っている人は君のようなごく一部を除いて、何かしらの理由で金が必要なのさ。
それでこの車両内で何かが行われるって聞かされているのさ」
周りを見渡す。
茶髪で今時のギャルのような女、鳶職のような恰好をした若いヤンキーみたいな奴など、十人くらいが乗っている。
周りが暗かったのは、どうやら疑心暗鬼になっているためだったらしい。
「冗談じゃねえよ、俺は降りるぞ」
「無駄だよ、あの駅が集合場所で出発してしまった、下りるのは、多分無謀だと思うよ」
「う……嘘だろ?」
俺はなんだか変なものに巻き込まれてしまったらしい。
うなだれ気味な俺を乗せながら、電車は暗闇を進んでいく。
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