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『ヒョン…歌えてないですよ』
耳の肥えたお前はすぐに気付いて受話器を取ったんだろうな
わかってるんだ
楽しい時に自然に笑えるように
悲しいときに自然に涙が出るように
僕は本当に歌えている?
「なぁ、会いたいな…」
『……えぇ。僕もです』
お前やみんなと一緒にいた時間が当たり前だったあの揺るぎない時間は幻のよう
『ヒョン、合わせたいです。ヒョンの声を間近で感じたいです』
「……困らせるなよ……」
『はい、わかってて言ってますから』
「意地悪か…ま、いいかそんなお前も」
『“音楽の神様”はいつもいます。ヒョン、僕らはいつだって手のひらの上です』
「…同じ世界にいても、会えないのに?」
『それでも、僕がヒョンの声に気づいたように、音楽がなくならない限り大丈夫なんですよ』
「“音楽”か…」
触れたと思えば離れていく
それでも…
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