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「おい、瑠衣、ちょっとこっちこい」 「んー、なんだ永太」 眠たげな声と共にリビングのソファーからひょこりと飛び出す黒い頭、これが我が家の可愛くてお馬鹿な弟、瑠衣だ 「とりあえずここに座れ」 訝しげに首を傾げる瑠衣をダイニングの椅子に座らせると、用意して置いたワックスとコームで髪を整えてやる、髪型はもちろん七三 「なにしてんだ?」 「あー、明日の予行演習っ…、ブッ」 まるで七五三かとばかりの見事な仕上がり、自分でした事とはいえ笑いが込み上げるのを抑え切れない 「何笑ってんだ?永太?」 「ぶはっ、いや、なんでもねぇ…、ブブッ」 「なんかわかんねぇけど失敬だぞ」 瑠衣はどうやら自分が笑われている事にだけは気づいたらしく、大きく頬を膨らまし、拗ねた目でおれを見上げてくる 沸き上がる庇護欲と嗜虐心の攻めぎあい、今日の天秤は…
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