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「ぶっ、否定しないんだな、まあ、いいか、…確かに厄介と言えば厄介だがあんなもんならどーってことないだろ」
永太の余裕の表情は実力に裏打ちされ見る者に安堵を与える、少し神経質になり過ぎていたようだ
「いや、そうなんだけど…、あまりにも奈美姉の本の通りなもんでなんか背筋が寒くなってさ」
「まあ、偶然にしちゃよく出来てるが、それならそれでさっきみたいに対処もしやすいだろ」
にこりと微笑む永太の表情は兄弟だけが目にする事の出来る特別なそれ、瑠衣とはまた別の輝きを放つそれは今、おれだけに向けられている
「そうだな、おれたちが揃えば何も恐い事なんてないな」
狭量な事を考えつつも自然と笑みがこぼれてしまう
「永太~、佐久~、何やってんだ早くしろ~」
気付けば先を行く瑠衣が拗ねた様に頬を膨らませている
「ヤキモチやいたな」
「ああ、面白れぇからゆっくり行こうぜ」
そう言う永太の顔はまた見るも無惨に脂下がっている、多分面白いではなくてあの顔を長く見ていたいのだ、そしてそれはおれも同じ
「ぷっ、可愛いな、本当」
「全くだ…、喧嘩してまでさせたのにあんま意味ねぇな、あの格好」
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