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「…ずりぃぞ、永太」
勢いに任せて放った言葉に俯く瑠衣、しまった言い過ぎたかと反省しかけた所で
「永太…言い過ぎだ、大丈夫瑠衣、置いてったりしないから」
佐久の優しく瑠衣を慰める姿に引っ込みのつかなくなる俺
「…佐久は黙ってろ、どうすんだ?瑠衣」
静まりかえった空気の中、瑠衣が絞り出す様に口を開く
「…おれ、置いてかれたくねぇ」
「んじゃ、言う通りに出来るな?」
「ううっ…永太はおーぼーだ」
瑠衣の敗北にも似た憎まれ口
「あぁ?わかんねぇーてなら…」
「まあまあ、瑠衣も永太がこうなったら絶対意見を変えないの分かってるだろ?諦めな」
佐久はまた怒鳴り合いになると思ったのか、執り成す様に瑠衣の肩を叩く
「…わかった、言うとーりにするから…、だから…置いてくなんて言うなよ」
辛そうな瑠衣の言葉に憑き物が落ちたかの様に後悔が押し寄せる
「…最初からそう言やいいんだ、ったく、泣くんじゃねぇ、本当に置いてく訳ねぇーだろ馬鹿が」
「永太…っ」
大きな黒目に涙か溜まって今にも溢れ出しそうだ
「泣くなって言ってんだろーが 、ほら、こいよ」
大きく腕を広げると迷う事なく飛び込んでくる瑠衣、歯止めの効かない俺をいつでも正面から受け止め、いくら傷を負っても決して離れて行こうとしない
「泣く奴は嫌いだって言わなかったか?」
「…な゛い゛でねぇ」
そう言う瑠衣の顔は鼻水まで出始め、ぐちゃぐちゃだ
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