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ブルーは少し考えてから、
「三つ、確認したいことがあります。それがこちらが満足する答えなら仕事を引き受けます」
そう言った。
それを聞くと、サングラスの男は一瞬顔に光が戻ったが、すぐにポーカーフェイスになった。
気にせずに、ブルーは続ける。
「一つ目は、あなた方が強奪させたデータがコピーされてないかということです。コピーされていたのなら、奪い返しても当然、意味はありませんから」
「そこは大丈夫だ。あれは、俺たちが誇る最高の難易度の暗号化と、コピー防止措置をかけてある。おそらくまだ、見ることすら出来てないだろうな」
男の答えに、ブルーは頷くような仕草をして続ける。
「二つ目は、そのDVDディスクの消息です」
「ああ、それに関しても問題はない。
俺達からディスクを奪った組織はいわゆるセルでな、今日の夜、北の港で上部組織に受け渡しをする予定らしい。
まぁ、そこまで分かってるからあんた達に仕事を依頼しに来たんだがな」
そこで、またブルーの仕事仲間の女の方が口を挟んだ。
「そこまで分かっているのなら、あなた方の組織内で解決すればいいんじゃないんですか?」
またしてもサングラスの男の顔が濁る。
「生憎、他の所に今日、抗争を挑まれててな。人が足りないんだよ……」
男が話し終わると、ブルーが最後の質問をした。
「では、最後です。報酬ですが、15万米ドルでどうでしょうか?
ただ、ディスクをこちらが破壊した場合は10万米ドルで十分です」
そのあまりの額に、サングラスの男はひっ、と小さく悲鳴を上げた。
日本円にしておよそ1500万円。
破壊した場合はいくら三分の二といえど、それでもかなりの高額である。
さらに、彼女は破壊した場合の事を言ってはいるものの、こういう事を言うということは、元から破壊せずに奪還できる自信があるということである。
悩んでいるサングラスの男にさらに王手を打つようにするブルーの一言。
「嫌ならそれでも良いですよ?
ただ、受け渡しは今日の夜ですよね?今から業者を探して見つかりますか?
それに……生きていれば15万ドルなんてすぐに稼げると思いますが……?」
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