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ブルーは自分に振り分けられている個室の安っぽい革のソファーに腰を下ろした。
そして、腰からこれから使うことになる銃を抜いて、机に置いた。
ゴトリと、鈍い音をたてながら置かれる人を殺す為の武器。
これでもう数え切れないぐらいの人の命を奪った鉄の塊。
ブルーが基本的に使用するのはワルサーP22だ。
名門ワルサー社の銃で、口径は22口径、22LR弾(5mmよりもわずかに大きいぐらい)を使用する。
映画などでよく使われるデザートイーグル50AE(使用弾丸は約12mm)や、日本人にもお馴染みの44マグナム弾(約10mmの弾丸)よりもかなり小さく、殺傷力もかなり低い。
それでも、彼女がこの銃で人を殺してきたことには変わりない。
ブルーの短い人生を象徴するような、黒い鉄。
それをまた使うとなると、ブルーは仕事でも溜め息をこぼさずにはいられなかった。
でも、仕事ならば、やらない訳にはいかないと思い、重い気持ちを起こして整備をし始めた。
マガジンを抜き、銃身をスライドさせて弾を全て排出する。
そして、分解の手順でバラバラにしてから全てのパーツを掃除する。
パーツの掃除が一通り終わると、分解の逆の順番で組み立てて、マガジンを押し込み、スライドを引いて初弾を装填した。
二丁とも終えると、セーフティーをかけてから腰のホルスターに戻した。
まだ腰には二丁、また別の銃があるが、これを使う予定はない。
それに、使うとしても、この二丁だけはワルサー以上に常に整備をしていた。
だから、わざわざまた整備をしなかった。
個室のドアを開けて見ても、まだ二人は準備を終えてないようだった。
それを確認すると、ジャケットの袖を捲って両腕に巻かれた包帯を露わにした。
真っ白なこの包帯、いや、この下にある物も銃と同じように彼女の人生を象徴していた。
(いつか……この包帯を取れるのかな……)
錆び付いた二年前の記憶を思い起こしながら、二人の準備が出来るまでブルーは軽く目を瞑っていた。
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