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ブルーの準備が整ってから10分程して、二人の準備も整った。
さっきまで交渉をしていた部屋のテーブルに北の港の地図を置いて、作成を考える。
「いつも通りでいいかな、ジャック?」
ブルーにジャックと呼ばれた男は、少し考えるような仕草をしてから、軽く頷いた。
それを確認してからブルーは、
「それじゃあ、突入はいつもみたいに私一人で。ジャックとアイリスは港の唯一の出入り口で、逃げた奴等をお願い」
と、地形の関係で一つだけの門を軽く指で指しながら言った。
ブルーにアイリスと呼ばれた、金髪を腰まで伸ばした碧眼の女も、ジャックと同じように軽く頷いた。
「それじゃあ、出発するか」
ジャックがそうブルーと同じような抑揚の無い声で言いながら地図をたたみ、三人は事務所を後にしてガレージへと向かった。
ガレージへと続く扉を開けると、そこには白のSUVと、蒼のセダンが置いてある。
SUVがジャックの車で、セダンはブルーの車だ。
今回、いや、仕事の時は大体ジャックの車が使用される。
彼の車は、元から軍用で耐久力が高く、走破性も高いので、三人のような仕事にはぴったりというわけである。
三人は持ってきた荷物をトランクに放り込み、ジャックが運転席、ブルーが助手席、アイリスが後部座席に乗り込んだ。
この配置はもう、当たり前のように決まっていた。
三人は何も喋らず、ジャックがエンジンに火を入れても、車内にはエンジン音しか聞こえなかった。
アイリスはこういう空気が大嫌いなのだが、二人はもとから無口なのに仕事になるとさらに無口が酷くなるので、何とか耐えていた。
ジャックがアクセルを踏むと、車は当たり前のように走り出し、三人を戦場へと運んでいく――――
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