~彼等の仕事~

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 夜の帳に包まれた港のコンテナの間に、ジャックの車は止まった。  エンジンが切られると、潮騒だけが聞こえ、月明かりが車を照らした。  そこに降り立つ三人。 「それじゃあ、ここから分かれて作戦通りに。時計は、23時48分36、7、8……」  ブルーの言葉に、ジャックとアイリスは時計を合わせて、銃を抜いた。  ジャックもアイリスもブルーとは違い、ベルトにホルスターを付けている普通のスタイルである。  この動作をするとき、毎回ジャックにはブルーが銃さえ持っていなかったら普通の少女に見える。  彼女は腰に全ての銃を付けているスタイルのせいで、傍目には単なる街娘に近い。  だが、中身はまるで冷え切った獅子のような人間なのでどうにもギャップがある。  だから、ジャックはこういう状況でも、二人に気付かれない程度に少しだけ笑っていた。 「ジャック、周波数は?」 「ん?ああ、88.0MHzだ」  タイミングよくヘッドセットを付けているブルーに質問されたが、ジャックは何とか答えた。 「それじゃあ、死なない程度にね」  ブルーはそう言うと、腰からワルサーを二丁抜いて、真っ暗な闇へと歩き出していった。  ブルーの姿が見えなくなると、残された二人も門へと向かって歩き出した。 「死なない程度って……ブルーが一番死にたがっているようにしか見えないんだけと……」  唐突に、アイリスが低い言った。 「確かにな……」  確かに、それに関してはジャックも同感である。  今回の作戦も、今までの作戦でも、殆どブルーは突入などの一番危険なポジションにいる。  ブルーの帰還率は確かに高いものの、常識的に見てそれは単なる死にたがりだ。  しかも、ブルーでも当然のように負傷したこともある。  そこにわざわざ名乗りを上げているのだ。  そんな人間を他人が見て、死にたがりにしか見えないのは、当然というものだろう。
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