196人が本棚に入れています
本棚に追加
「だが、あいつが何を思ってるか、過去に何があったかは知らないが俺達が負担を減らしてやるべきじゃないか?」
「…確かに、ジャックの言うとおりね」
ブルーは、二人に一切過去のことを話していない。
腕の包帯の下に何があるかはジャックは知っているものの、堅く口止めされている。
二人が分かるのは、ブルーが日本人ということと、恐ろしい程強いということだけだった。
そんな会話とも取れないような話しをしていると、二人は門に辿り着いた。
丁度門柱の脇にパレット(荷物を積む板)が山積みにされていたのでその陰に身を隠す。
二人が20分程会話もせずに身を隠していた時、港には不釣り合いな、黒塗りの高級外車が三台通り過ぎていった。
そして、さらに5分ぐらい後に、二台の先程と同じような外車が門を通り抜けていった。
「ブルー、今、両者が門を通った。車は合計五台だ」
ブルーの返信は間を開けずに来た。
「了解。先に着たのはもう広場に居るよ。こっちが両者を確認したら合図送るから、門を閉めて」
「分かった」
その通信の三分後に、ブルーからの取引が開始された報告が来たので、二人は指示通りに錆び付いた重い門を閉めた。
これで、彼等のやることはブルーが標的を逃した時のカバーだけになった。
ふぅ、と息をつくジャック。
いくらブルーが強いと分かっていても、どうにもやるせない気持ちになる。
だが、ブルーの応援に入ることは逆に彼女の足を引っ張ってしまう。
だから、どうすることも出来なかった。
港の奥から多数の銃声が聞こえ、二人は無事にブルーが帰ってくることを祈りながらしばし満天の星空を眺めていた。
最初のコメントを投稿しよう!