~彼等の仕事~

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『門の封鎖は完了したぞ』  ジャックからの門を封鎖したという通信が入り、ブルーは短い返答をして無線を切った。  コンテナの陰から見える広場のように開けている場所には、五台の高級車と15人ほどの高そうなスーツをしっかりと着こなした人間が居た。  ブルーは一度両手のワルサーを確認し、一息ついてから突入のタイミングを伺っていた。  だが、彼等は現物をなかなか出さず、ブルーも突入するに出来ない状況だった。  そんな時、ブルーの背後に暗視ゴーグルを付けて息を潜め、手には銃を持った男が一人――――  その男は音を立てないようにゆっくりと、だが、一歩ずつ確実にブルーとの距離を狭めていた。  男は暗視ゴーグルで僅かな光でも増幅されて緑になっている視界の中、取引のみを見ていて、こちらに気づかないブルーに近づいている。  そして、男は自覚している自分の銃の貧相な腕でも確実に当てられる距離まで迫ったとき、自分の手に収まっている得物を見た。  男の手に収まるのはサブマシンガンのUZI(ウージ)。  その独特の形状に男は惚れ惚れとしていた。  そして、コンテナに潜む少女に鉛玉を叩き込もうと顔を上げた瞬間――――、 緑色の視界に、こちらを向いている少女の顔が映し出された。 「っ――――!?」  男は声を出して仲間に伝えようとしたが、その口は既にブルーの左手で押さえられていた。  さらにブルーは余っている右手で男の顔面を掴み――、 首を曲がってはいけない方向へと捻った。  男の断末魔はブルーの左手によって遮られ、重力に従って崩れ落ちる身体はブルーが右手で強引ながらも音がしないようにゆっくりと下ろした。  唯一出た骨が上げた鈍い音も潮騒で消え去り、男がこの世に残した音はブルーのみにしか聞こえなかった。 「戦場で敵から目を離すなんて……非常識にも程がありすぎ…… まあ、もう聞こえないんだろうけど……」 (ホント、こんな事を普通に出来る自分が嫌になる)  ブルーはそう思いながら再び腰からワルサーを抜き、またコンテナの陰へと戻っていった。
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