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未だに前座のように話している男達に退屈さを感じながらも、ブルーはしばし待っていた。
そして、10分ほどたって、ようやく一人の男が車からアタッシュケースを出した。
その場で開かれたアタッシュケースには、月光を僅かに反射するディスクが一枚。
それを視界に納めた瞬間、ブルーは飛び出していた。
しかしまだ引き金は引かない。
両手の真っ黒のワルサーを突き出したまま、
「全員動かないで」
ただ、それだけを言った。
だが、こういう人間がいきなり出てきた、銃を持った少女の言うことなど聞くはずがない。
一番対応の早かった男がぶら下げていたサブマシンガンをブルーに向け、人差し指に力を入れた―――
広場に一発の銃声が鳴り響き、
男はその場に崩れ落ちた。
男の眉間には小さな風穴が一つ。
ブルーが右手に持っている黒いワルサーの銃口からは白煙が。
今起こったことを周囲の人間の頭が処理をするよりも早く、ブルーは走り出した!
処理を済ました人間から一斉にサブマシンガンを抜き、ブルーへと照準を合わせるが、彼女は既にコンテナの裏に隠れていた。
「おいっ!お前達はデータを持って逃げろっ!」
リーダー格の男が下っ端に指示を飛ばし、五人程が我に返って、一人はディスクへと手を伸ばした。
だが、再びワルサーの小さな銃声が鳴り響き、その男もその場に崩れ落ちた。
「コンテナの上だっ!」
リーダー格の男の言葉に他の男が視線を高くすると、そこにはコンテナの上を縦横無尽に走る少女。
だが、男達がブルーに照準を向けると彼女はコンテナの陰に消える。
ディスクに手を伸ばすと、急に現れて撃つ。
まさに神出鬼没。
五分と経っていないのに、既に男達の中で動いている人間は半分程になっていた。
そんなときだった。
「おい!こっちだ!」
一人が運転席から叫び、その車がディスクの横に止まった。
それを見た男がここぞとばかりに走り、アタッシュケースからディスクをしっかりと握って車内に飛び込んでいった!!
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