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そして、ドアが閉じるのが早いか、車はけたたましいスキール音と白煙をまき散らしながら走り去っていった。
だが、ブルーはそんな状況でも軽くため息をつき、
「ごめん。二人車で逃がした。ディスクも持ってるから」
『分かった』
自分の目の前の敵に集中する事にした。
それでも、またこぼれた長いため息。
出来ればあの二人には何もしてもらわないつもりだった。
二年前のあのことを思い出してしまい、どうにも虚無感がつもる。
ブルーのテンションは一気に下がっていた。
しかし、自分のすぐ脇に飛んできた弾丸で現実に引き戻された。
残りの数が少なくなったのが逆に幸いしたのか、男達がリーダー格の男の命令をしっかりと聞き取れて統制のある動きになっていた。
ブルーの隠れるコンテナに嵐のように大量の弾丸が叩きつけられ、派手に火花を散らしている。
飛び出せば確実に蜂の巣。
待っていてもこのまま制圧射撃で詰め寄られ、結果は変わらない。
だが、そんな修羅場など、彼女は何度も体験していた。
ズボンの上から太腿にベルトで縛り付けているポーチから10cm程の球状の物体を出すと、上についているビンを歯で引き抜き、コンテナの外へと投げた。
投げると同時に、ブルーは目をつぶり、耳を手で覆う!
投げてから数秒後、辺りが耳をつんざく高周波と、目を潰すほど強い閃光が包まれる!
ブルーが隠れているコンテナを注視していた男達は、自分達が放っていた弾丸のせいで気づかずにまともに音と閃光を浴びた。
耳を押さえ、目を押さえても変わらない苦痛にサブマシンガンなど投げ捨てて、転がり回っていた。
そしてブルーはコンテナから飛び出して、無抵抗の男達の急所へと弾丸を放った。
頭、首、心臓などを撃たれればいくら威力の弱いブルーのワルサーでも命を落とす。
断末魔を上げながら一人、また一人と動かなくなっていった。
そんな、ワンサイドゲームが僅かの間続き、ブルーの両手に収まる黒いワルサーがスライドしたままの状態で止まり、弾が尽きた事を示した。
同時に、ブルーの前で動いている人間は、一人だけとなった。
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