prologue ~始まりと、今~

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 東南アジア独特の、湿気を多く含んだような強い日差しでまだ多少あどけなさの残る少女は眼を覚ました。  またあの夢か。  あの日から、この夢を見なかった事は殆どない。  早く忘れたいと思うほど、何故かしっかりと脳裏に焼きついたように離れない昔の記憶。  あの出来事が今の自分を創ることになった。  自分のやったことは確かに正しい事ではないが、あれしか方法がなかった。  今ではそう考えてそれ以上思考しないことにするのが今の彼女にとって一番楽だった。  少し経ってから冷や汗で少し濡れた服を着替え、いつもの真っ黒のインナーに袖を通した。  背中に4つのホルスターをつけ、一丁一丁確認してからそこへ銃を入れた。 さらに上から深緑のジャケットを羽織る。  その後も、机の上に置いてあるナイフや替えのマガジン、細かな道具などを全てポケットに押し込むようにして収めると、一度深呼吸をした。  そして、自分の今までの行為に懺悔するかのように一度目を閉じ、それから少女は勢い良く扉を開けて光溢れる街へと向かっていった。
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