~彼等の仕事~

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 街の大通りから外れ、かなり入り組んだ道。  カツン、カツンと安っぽい錆びた階段を上がり、そこにある扉を開くと薄暗くて埃っぽい空間が現れる。  ここが、ブルーと仕事仲間の事務所になっている。  いつものように、慣れた手付きでドアノブを捻ると中には6、7人ほどの人影があった。  その中の、ソファーに並んで座っている若い男と金髪の女は入ってきたブルーを見て、軽く手を上げてブルーを招き寄せた。  二人ともブルーの仕事仲間である。  いつもならば軽い挨拶をしてブルーはソファーに座るのだが、生憎今日はその席は埋まっていた。  そこには、夏だというのに真っ黒のスーツを着こなし、同じく黒のサングラスをかけた男が座っていた。  そしてその後ろには、護衛とおぼしきガタイのいい男が数人。  普通の人間ならば、真っ先に逃げるような状況だが、ブルー達は主にこういう人間を相手に仕事をしているので何の問題もない。  そして、わざわざ事務所に来るということは、重要な仕事の依頼があるということ。  そんな事は分かり切っているので、ブルーは二人の仕事仲間が座っているソファーにもたれ掛かった。 「あんたがブルーさんか。相当腕は立つそうだな」  サングラスの男は、用件も伝えずにいきなりそう言った。  ブルーは、「さぁ?どうでしょう?」といった感じの顔をしただけでその問いには答えない。  だが、サングラスの男は話を続けた。 「悪いんだが急な仕事を頼みたい……」  サングラスの男が急に苦い顔になった。
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