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「───今現在。奴等の巣穴は、米・露・大平洋の3ヵ所に存在し、大小枝分かれしたモノを含めると、18が確認されている」
「その中でも大平洋上に存在する巣穴が最も大きく、奴等・・・・『アリエ』の拠点と言って間違いないだろう」
「本作戦は我々日本帝国の更なる───」
作戦前に毎度繰り返される口上。帝国を讃える何の変化の無いフレーズに、ヒロトは心底嫌気を覚えていた。
彼も幸村の考えに賛同した者の1人で、一分一秒を無駄に使いたくは無い。
しかし、彼の階級は枡席にも呼ばれぬ訓練兵。
これが無線による作戦前の伝令であっても、参加出来た事だけでも異例の処遇。口を挟む事は許されない。
本土防衛線、第三演習場。
そこから見える景色には、崩壊した建物や民家、ただ瓦礫の山だけが広がっている。
この国・・・いや世界には、後どれだけの人々が生き残れたのだろうか。
ヒロトは、何処か他人事の様に感じながら、眼下に映る景色を眺めていた。
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