プロローグ

3/4
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
次第に大きく、地を揺らす咆哮にも似た足音。迫り来るは人外の者達。 「全軍突撃ぃぃ!本土を守れ!その身が朽ち果てようとも祖国を蹂躙させるな!!!」 その言葉を待っていたかの様に、男達は走り出した。雄叫びを上げて、自身に纏わり付く恐れを払拭するかの様に。 皆が明日を捨てながら、明日の未来を願っていた。 悲鳴と銃声に怯むこと無く迫り来る足音達。彼等には恐怖の概念など無く、有るのはただ食欲を満たすだけの本能。 次々に肉塊となる仲間達の横で、俺は銃口を向ける。 この一匹が何人の未来を奪うか想像し難い。人の体を一飲みにするであろう醜悪な口元に鉛を打ち込んだ。 「うああああああああああああああああああ!!!」 人よりも巨大な身体で、とめどなく迫る者達に弄ばれる。 身体を瞬く間に啄まれ引き裂かれながらも、俺は引き金を引き続けていた。 脚や腕が奴らの巨大な口から胃袋に納められて行く。 「があ゙あああああああ゙あ゙!!!」 薄れる意識の中で見たものは、幻想か?幻か? 化け物達を更なる暴力で駆逐するのは、後方より出で立ち夕日に照らされた空を覆う程の鉄の塊だった。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!