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「訓練部隊を前線に投入ですか・・・。いささか感心しかねますなぁ」 簡素な卓上で、将校クラスが揃い並ぶ。その中の一人の男は頬杖をついて口を開いていた。 「彼等に与えられた機体は、子供の玩具では無いんですよ?幸村副指令」 威圧ともとれる言い回し。緊張感の中で名指しされたのは、一際若い男だった。 「これは手厳しい。しかし子供の玩具も最新の兵器も、倉庫に保管したままでは───」 「同じだと?」 「はい、 現にアレを乗りこなせるパイロットが他に居ますでしょうか?彼等は既に大きな戦果を出しています。 反物質エンジン搭載二足歩行兵器。機動力とパワーに優れた最新鋭の機体。聞こえは良いですが、バランスも悪く連続駆動時間も極端に短い。 成長期の彼等以外には、歩行する事すら困難な代物ですよ・・・。更に付け加えると、我が軍部には資源も人材も出し惜しみする余裕が有ると思いませんが?」 幸村は終始笑顔でその場を納めた。しかし、上層部の面々には現状を理解している者がどれだけ居るだろうか。 今作戦で失われた兵の数は、盤上の数字などでは無い。 彼の腹の底は憤慨が渦を巻いていた。
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