立ち位置

5/6
前へ
/162ページ
次へ
「ヒロト君は腕を上げたな・・・。九条くんにも退けはとらない数値だ」 幸村は報告書に目を通しながら、そこに書かれた内容に目を見張った。 「幸村さん、誉め過ぎですよ」 「いや、事実だよ・・・既に彼無しではオオタカヤマ作戦は成り立たないだろうな」 幸村の言葉に、彼の側に居た部下は目を丸くしていた。 「彼を、作戦に参加させるおつもりですか?」 「木田君・・・。きみは彼の作戦参加に不満なのかい?」 木田と呼ばれた部下は、幸村から視線を反らすと、罰悪く俯いていた。 「すみません・・・、幸村副指令。いち軍人が国家の作戦に口を挟むつもりは・・・ただ」 「ただ?」 木田は僅かに間を置くと、上官の表情を伺ながらも、意を決した様に口を開いた。 「彼等はまだ若すぎます・・・。あの子達の存在は我々が守るべき未来そのモノですよ!」 「・・・」 「彼等を犠牲にして、未来の日本帝国の礎とするなど・・・」
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加