313人が本棚に入れています
本棚に追加
「今は、ともだちだけど」
うつむいた葵の頭のてっぺんに向かって、話しかける
「…いずれ、彼氏になれたらって思ってる」
葵の頭が、ぴくりと動く。
まだ、下、見てろ。顔見たら、恥ずかしくて、言葉を失う。
「それは、本音。信じて」
葵の頭が、わずかに頷く。
……よし。
髪に触れたくて、伸ばした手を、葵がひょいとかわす
「さ、帰ろ。…送ってくれるんでしょ」
何事もなかったかのようにすたすたと歩く、後ろ姿に、笑いが込み上げてくる。
「寄り道、しようぜ」
つかまえた手首は、やっぱり細くて。
俺のともだちは、葵は、女の子だ。
……そう思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おしまい・・・
最初のコメントを投稿しよう!