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「もう、いつまでしょんぼりしとんねん。フラワーシェイプからやる気と元気取ったら何も残らへんで」
「ちょっと、岩井くんそれ言い過ぎじゃ……」
「……ですよね」
雰囲気が良くない方向へ向かって行くのを山村は感じた。花形は誰とも目を合わせずに話を続ける。
「僕からやる気と元気取ったら、何も残らないんです。子供みたいに馬鹿だし、いつもドジ踏んじゃうし……役に立てない下っ端なんです」
「花形くん……」
「ほんと、何で僕が対策室のメンバーに入ったんですかね。小暮が選ばれてれば……こんなことには――」
岩井の拳が花形の顔にぶつかる。椅子ごと花形は床に倒れた。
「岩井くん!」
山村の制止を聞きもせず、花形の胸ぐらを掴み持ち上げる。
辛く、苦しそうな顔が岩井を更に苛立たせた。
「言いたいことはそれだけか」
周囲の客や店員が困惑しながらこちらを見ていたが、構いやしなかった。
しんとした空気が辺りを包む。
「……っ」
「そんなんやったら、今すぐ辞表書いて辞めればええ」
荒々しく花形を投げつけ、岩井は出口へと歩いていく。
「あ、ちょっと……!」
岩井を追いかけたかったが、それよりも花形の心配をした山村は駆け寄り声をかける。もちろん、その際周りへの謝罪も忘れない。
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