◎Teacher

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  ―‥ 「おーし!今日の体育はバスケだ!」 麗らかな午後、5時間目は俺の担当科目の体育。 いつもはだらだらしてる野郎達も、今日はいつになく背筋も伸びていて、珍しくやる気が窺える。 それもそのはず、 『おいっ青明寺先生、なんで瀬口先生いるの?』 「いや、まあ、瀬口先生ともっと親密になろうかと思って」 『なんだよそれっ』 「いいとこ見せれば、好感度上がるかもなあ‥?」 得意気に胸を張って見下ろすと、野郎達は急いで倉庫にボールを取りに行く。 「あの、青明寺先生?」 「なんすか?」 「さっき、生徒達となにを話されていたんですか?」 「あー‥まあ、瀬口先生は可愛いけど色気が無いなあーって」 「訴えますよ?」 「‥すいませんでした」 ああ、また瀬口先生の表情が曇っていく。 乙女心って難しいな。 「なんか、不思議」 「‥え?」 「‥嫌じゃないんですよ、青明寺先生に意地悪言われるの」 ダン、ダン、とボールが地面を跳ねる音。 俺の心臓の鼓動と、同じテンポで刻まれる。 「‥あ、あそこの生徒遊んでますよ」 「!、っおーい!お前らあああ!」 『なんだよ!先生だって瀬口先生とイチャイチャしやがって!』 「ばっ、おまっ」 「‥いい大人が、生徒の中に混じってバスケなんて」 『ちょっとガキ共ボール貸せえ!』 「‥大人気ないなあ」 ダンッ、 と ボールがゴールに入った瞬間。 後ろで瀬口先生が笑ってくれた気がした。  
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