◎Youth

3/6
前へ
/24ページ
次へ
  「あ、曜君おはよー」 保健室。ここは本当に落ち着く。 曜子と喧嘩したり、勉強がうまくいかなかったりするときは、ここに来る。 だけど多分、なにより俺をここに惹き付ける理由の一つに、 ここの保健医の、きゃんち先生の存在もあるんだと思う。 「また何かあったのー?」 「うん、まぁ」 「無理しないで、ゆっくりしてってね」 きゃんちはいつもと変わらない笑顔で、変わらないトーンで話す。 「‥きゃんちは本当に優しいなあ」 「‥え、そう?」 「腹黒そうだけど」 「そんなことないもん」 こんなひとときが、今や俺の生活の大切な一つになっている。 「いやでも本当に。顔から優しさが出てるもん。その地味なメガネとみつあみとかさぁ」 「いいじゃない、似合ってるでしょ?」 「まあね。‥でもきゃんちはメガネ外した方が可愛いよ」 ほらまた、そうやって頬を赤らめたりするのも、可愛い。  
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加