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「はははは、曜君がそんな動揺してるのはじめて見たあ」
「だっ、だって‥」
「ごめんごめん、乾さんに決まってるのにねえ」
きゃんちは大笑いしたあと、再びメガネをかけ直す。
「きゃんちも可愛いよ」
「ありがと」
なんか、大人って怖い。
まだまだ未来のことみたいだけど
俺もそんな怖い生き物になるんだろうな。
「‥でもね、きいて」
「‥‥なんだよ」
「‥私がメガネ外すのは、曜君の前でだけなんだよ」
俺が息を呑んで、そしたら、チャイムが鳴った。
「きゃんち、それって‥」
「あら、乾さん」
きゃんちの目線は廊下に。
その視線を辿ると、確かに曜子が立っていた。
「行くよ、曜介」
「え、あぁ」
「仲良しじゃない、青春だねー」
後ろから、きゃんちが小声でそう言った。
俺は振り向かないで、
「失礼しました」と言って保健室を出る。
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