山崎の一日

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自分らの報告で人の命が奪われる事も当然ある。 平隊士でも監察方はある意味力があり、恐ろしい存在や。 だが、誰かを貶めようと虚偽の報告をしたりしようものなら、副長から厳罰が下される。 良くて、局中法度違反。 『士道に背き間敷事』 『私の闘争を不許』 そのどちらかが適応され、切腹や。 悪ければ、罪人として斬首やな。 自分達だって人間や。 気が合う合わない、好き嫌いはある。 だから、監察方は隊務に絶対私情を挟まない鉄壁の理性が必要とされるんや。 監察方の唯一絶対の心得であり、一番難しいことやな。 さて、小難しい話は終いや。そろそろ仕事せなあかん。 今日は久し振りに原田はんでも見に行くか…。 ん?昔から付き合いのある幹部なのに監視が必要なのかって? 当たり前や。昔馴染みでも、幹部でも例外はあらへん。 原田はんの部屋は確か…この辺りだった筈…。 せやせや。ここや。 ん?寝とる? あぁ、確か昨夜は寝ずの番やったな。 それなら仕方ない。 だが…… 腹、出して寝たらあかんやろ!! 風邪引いてまうやんか。 全く。だから時々腹具合悪くしとんのか? まさか、あれは寝冷えやったんか…? は! しもた。思わず部屋ん中降りて、布団掛けてもうた。 あかん。あかん。ばれない内に退散せな。
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