送り火

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そして、その道を突進む彼らの顔は輝いており、綺麗だと感じていた。 「…そうですね。この景色は土方さん達が守ってきたものですね」 朔は再び町中へと視線を戻すと、土方と同じ景色を見渡した。 そのまま暫く二人とも無言で京の町を見つめていたが、やがて土方が静寂を破った。 「お前はそうやって笑ってろ。笑顔の方が似合うんだからよ」 「え?」 朔が再び土方を見上げれば、朔を優しく見つめる土方の視線とぶつかった。 「朝から湿気た面してやがっただろ?昼餉ん時も浮かない顔で溜め息吐いてやがったし」 「見ていたんですか?!」 「気付かねぇとでも思ってたのか?そんくらい分かるってんだよ。他の奴等と一緒にすんな、馬鹿」 土方はそう言いながら優しく笑うと、自身も屋根の上に座りつつ、朔を屋根の上に座らせた。 土方の言葉は乱暴であるが、声と目差しはどこまでも優しく、朔は鼻の奥がつんとした。 そんな朔の頭に土方は手を乗せると、朔の髪をくしゃっと撫でた。 「ま、聞かなくとも見当は付いてるがな。…大方、両親と兄貴の事だろ?」 お盆の時期に朔が沈む様な事は、土方にはそれしか思い浮かばなかった。 過去の闇を吹っ切ったとはいえ、やはりこの時期になれば心に影を落とさずにはいられないだろう。 何せ、朔にとって亡くなった兄と両親の存在は、朔の世界の全てであったようなものなのだから。 土方の言葉に予想通り、朔は頷いた。
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