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「なぁ、総司は何の花が一番好き?」
始まりは、平助のそんな言葉からでした。
「いきなり何ですか?」
「いや、単なる好奇心なんだけどさ、何気なく皆に聞いたら、意外に面白くってさ。性格出てるっつーか何て言うか」
「へぇ。皆は何て答えたんですか?」
そう質問すると、平助は皆の回答を教えてくれましたが、話を聞く内に私は噴き出しました。
平助が意外に面白いと言っていた事がよく分かりました。
原田さんは牡丹。
永倉さんは梅。
近藤さんは向日葵。
一君は寒椿。
土方さんは桜
朔さんは月下美人。
雪さんは竹。
皆、性格出過ぎでしょ?
というか、雪さんの竹って…花、なのかな?
まぁ花言葉あるから、花で良いのかな?
「で、総司は?」
「私ですか?そうですね…」
私はそう呟くと思案する。
寒椿も牡丹も梅も…皆が選んだ花も好きですが、やっぱり桜かなぁ…。
土方さんと一緒ってのが引っ掛かりますけどね。
桜は、その潔い散り方から武士の象徴ともされており、その生き様も私は好きです。
ですが、私が桜を好きな理由は他にもあります。
花びらがひらひらと舞い落ちる様は儚くも美しい。
桜の花吹雪など、思わず見惚れるくらい美しい。
白っぽくも、桜色にも見える、淡い花の色は幻想的で。
そして、桜が見せる姿の中でも、夜桜が一番美しい。
月の光を浴びて輝く桜は、まるで光を放っているように輝き、夜闇に浮かび上がってさえ見える。
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