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だから、無理などしていない。
全て自分の意思であって、新撰組の沖田総司を演じての行動ではない。
沖田は永倉へそう告げた。
その顔はすっきりとしており、無理をしている様子はない。
その様子に永倉はやがて目を閉じると、安堵した様に僅かに笑った。
「そっか。なら良いんだ」
永倉はそう呟くと、沖田の隣りへ腰を降ろし、沖田の頭をその大きな手でぐしゃぐしゃと掻き撫でた。
「ちょっ…永倉さん何なんですか?!」
突然の事に沖田は困惑したように、永倉の手を退けようとしたが、永倉は笑いながら一向に手を止めようとはしなかった。
永倉が手を止めたのは、沖田の頭が鳥の巣の様になってからだった。
「もう…頭がぐちゃぐちゃになっちゃったじゃないですか!」
「悪ぃ悪ぃ」
一応はそう謝罪してくるものの、その声や顔から永倉が悪いとは思っていないのは明らかであり、沖田は口唇を尖らせた。
そんな沖田に追い討ちをかけたのは斎藤だった。
「総司、頭が鳥の巣の様だぞ」
「あっはははははは!鳥の巣!!確かに鳥の巣だ!斎藤、上手い事言うな!」
「永倉さん笑い過ぎです!一体誰のせいだと思ってるんですか!一君までそういうこと言いますか!?もう…」
斎藤の一言に永倉は腹を捩りながら笑い転げたが、沖田は完全に拗ねたのだった。
沖田は、ぶつぶつと文句を言いながら髪の毛を結わえていた紐を解くと、手櫛で髪の毛を梳き、整え始めた。
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