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「…はあ…」
沖田が自覚は無いとばかりに頼りなさげにそう言えば、永倉は長い溜め息を零した。
「ったく。そんなんだから放っておけねぇんだよな。だから土方さんの心配性も直らねぇんだぞ?」
「あの人の心配性は病気ですよ」
沖田が眉を顰めれば、永倉と斎藤は苦笑するしかなかった。
確かに土方の心配性は度を超えている節もあるが、永倉の目から見ても沖田はどこか心配で目が放せない。
永倉でさえそうなのだから、土方など心配でたまらない筈だ。
つい口煩くなる心境も分かる。
土方の心配性の原因の一端は、間違いなく沖田にあるのだが、その沖田からは病気だと言われてしまうとは、余りにも土方が可哀相であった。
「まぁそう言うなよ。土方さんが可哀相だろうが。…とにかく、お前は自分の事をないがしろにしすぎだったから皆、心配してたんだよ。でも、総司の今の話聞いて安心した。お前のあの態度は、自分を押し殺してねぇって分かって…安心したよ」
「すみません。永倉さんには、いつも心配ばかりかけてますね。確かに近藤さんの為なら私は何だってします。それこそ、私でなく新撰組の沖田総司が必要なら喜んで私は消えます。でも…」
沖田はそこまで口にすると、永倉と斎藤を順番に見ると微笑んだ。
永倉達はそれを望んでいないと知った。
確かに新撰組の沖田総司という顔も必要なのだろうが、だからと言って、自分を消す事はないと気付いたのだ。
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