かけがえのない宝物

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「永倉さん達が私を見てくれているのを…私を心配してくれてるのを知ってますから、安心して下さい。私は消えません。新撰組の沖田総司を演じる事は止められませんが、新撰組の沖田総司に呑まれて私が消える事はないと約束しますよ」 沖田がそう言えば、永倉と斎藤は満足そうに笑んだ。 その笑みにつられ、沖田もまた微笑む。 自分は独りではない。 大事な仲間がいる。 背中を預けられる仲間が…。 この先、今までの様な平穏な日々は、日を追う毎に貴重となるだろう。 それでも、彼らと共にならどんなに血に塗れた日々でも耐えられるだろう。 この動乱の世において、その存在はかけがえのない宝物かもしれないと沖田は思うのだった。              終
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