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そう言う永倉に朔は首がもげるのではないかという勢いで首を振った。
はっきり言って、この着物の色は朔好みの色だった。
まして、永倉達が朔の為にと選んでくれたのだと思うと、どんな色であれ気に入らないなんてことはない。
「そんな事ありません!とっても素敵な色です」
「じゃあ、問題ねぇな。遠慮ばっかしてねぇで素直に受け取るのも大事だぞ?嬢ちゃんはもっと我が儘になっても良いくらいなんだからさ」
「………はい」
朔は花が綻ぶような笑顔を三人に向けると、着物を大事そうに抱えた。
原田と永倉と藤堂。
三人の思いの詰まった贈り物。
この地で増えていく大事なもの。
形ある物も形のないものも。
全てがとても大事な宝物で、とても大事な彼らとの思い出。
いつかは彼らとも離れ離れになる日が来るだろう。それでも、朔はこの日々を忘れない。
ここで彼らと過ごした日々はけして、色褪せないだろう。
彼らとの思い出と共に。
終
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