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花。
辺り一面に、色とりどりの花が咲いている。
スミレも、スズランも、コスモスも。
そんな中を、一人の男が歩いている。
そして、時々つぶやく。
「今日も、生まれたばかりの命がやってくる・・・。」
男はゆったりと、
しかしそわそわしながら、歩いていく。
ここは「希望の花園」
時折、誰の子とも知れぬ赤ん坊がここで発見される。
誰が置いたわけでもなく、突然に現れるので、赤ん坊は「希望の子」や「奇跡の子」と呼ばれる。
男は、赤ん坊を見つけ、孤児院に連絡する係なのだ。
「今日は誰か来そうな気がする。いや、来るに違いない。」
男は長年のカンを信じていた。
「・・・あれは!」
男は、ついにそれを見つけた。
可愛い赤ちゃんだ。
女の子らしい。
「早速、連絡しないと・・・!」
しかし、男の視界に、別の何かが入った。
「なんだ、あれは・・・?」
それは黒かった。
何か、細かな飾りもついていた。
男は魅せられるように、その黒いものに近づいた。
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