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「あ....」
「美雪?女に見間違えられたのは初めてだな」
「ご、ごめんなさい...」
ど、どうしよう、睨まれてる...?
自分の心臓の音が聞こえる。
手に汗が滲むのが分かる。
だって...だってこの人...。
「ねぇ、君。名前は?」
その問いにビクッと反応する。
「せ、瀬戸旭です...」
「ふぅん...」
意外な質問に少し戸惑いながらも答える旭。
彼は少しの間私の顔を見ていたが、そのうち私をぬかして歩き出した。
「あ、あの...!!」
彼は足を止め振り返った。
「何?俺急いでるんだけど」
「あなたの名前は...!!」
そう言った私を、彼は不思議そうな顔で見つめた。
そして、少し間をあけて答えた。
「九条遼一」
それだけ言うと彼は再び歩き始めた。
「九条...遼一...」
旭はそっと呟いた。
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