1.秘密

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階段を上がると、膨れっ面な和花が自分とわたしのカバンを持って立っていた。 「あ、あれ……?カナは?」 「……途中で紺野くんが来たから邪魔しちゃ悪いと思って……。 もう、弥白どこ行ってたの?」 急いで残りの階段を駆け上がり、和花からカバンを受けとった。 「ごめんね。ちょっと話し込んでて……。 カナは紺野がいるからいいよね。帰ろ?」 「うん……」 寂しそうな素振りで、未だに機嫌の直らない和花。 わたしは、和花の手を取る。 「コンビニの肉まんか、デザート!どっちがいい?」 すると和花は一気にパァッと笑って、わたしの手をギュッと握り返す。 「弥白と肉まん食べる!」 「よし、行こう!」 交渉成立。 後ろにカナ達カップルが見えて、走って逃げてみた。 逃げる必要はなかったと思うけど。 和花と繋いだ手がいつもより熱過ぎて、ひんやりとした風が心地よく感じられた。 ***
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