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階段を上がると、膨れっ面な和花が自分とわたしのカバンを持って立っていた。
「あ、あれ……?カナは?」
「……途中で紺野くんが来たから邪魔しちゃ悪いと思って……。
もう、弥白どこ行ってたの?」
急いで残りの階段を駆け上がり、和花からカバンを受けとった。
「ごめんね。ちょっと話し込んでて……。
カナは紺野がいるからいいよね。帰ろ?」
「うん……」
寂しそうな素振りで、未だに機嫌の直らない和花。
わたしは、和花の手を取る。
「コンビニの肉まんか、デザート!どっちがいい?」
すると和花は一気にパァッと笑って、わたしの手をギュッと握り返す。
「弥白と肉まん食べる!」
「よし、行こう!」
交渉成立。
後ろにカナ達カップルが見えて、走って逃げてみた。
逃げる必要はなかったと思うけど。
和花と繋いだ手がいつもより熱過ぎて、ひんやりとした風が心地よく感じられた。
***
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