6.失恋疾走曲

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「もう行かなきゃ。和花、危ないから離れて……」 「弥白……」 たった一歩。 その一歩を踏み出せば、わたしは和花と一緒に居られる。 けど、それは出来ない。 わたし自身が決めたこと。 この思いを断ち切る為の、けじめ。 発車のベルが鳴り響く。 「弥白……また、会えるよね……? 私、メールするよ!電話も……。 だから……これで、さよならじゃないよね……?」 一瞬たりとも、わたしから目を離さない和花。 ドアが閉まる。 わたしと和花を遮る、鉄の塊。 「……またね」 聞こえたかどうか、判らない。 電車が進む。 和花がみるみる遠くなり、ついには見えなくなった。 窓の外は、空の青と桜のピンクが鮮やかに広がっている。 見慣れた街が、流れていく。 窓にうっすらと映ったわたしの頬は、紅くて。 唇に指をあてると、先程の感触が思い出される。 「……もぅ……心臓に悪いよ……」
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