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「代理?」
翌日、突然にカナがわたしに両手を合わせて頭を下げてきた。
昨日も一緒に帰って幸せいっぱいのカナさん。
今日は早く帰って映画館デートだそうな。
しかし、本日は委員会。
つまりわたしを代理にして自分はデートに行く、と。
「勝手なお願いなのは承知なんだけど……」
あの勝ち気なカナが、珍しく申し訳なさげな表情を浮かべる。
はぁ、とため息を吐く。
そのため息にカナは断れたのだと察したようで、みるみる泣きそうな顔になっていく。
それが少し可笑しくて、思わず笑ってしまった。
「あははっ……誰もダメなんて言ってないじゃん。
いいよ、わたし出るからカナは楽しんできなよ」
「弥白……!ありがとおおお!!」
カナの表情は一転して明るくなり、思いっきり抱きついてきた。
「その代わり、駅前のワッフルのお土産期待してるからね」
「もうカナさん何でも弥白に奢っちゃう!本当にありがとー!」
「その言葉忘れないでよ?」
もちろん!と自信満々に言って、わざわざ指切りをした。
カナのこういう所は、子供っぽくて可愛いなと思う。
委員会は放課後なので、それまではいつもと変わらない日常だった。
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