1.秘密

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「代理?」 翌日、突然にカナがわたしに両手を合わせて頭を下げてきた。 昨日も一緒に帰って幸せいっぱいのカナさん。 今日は早く帰って映画館デートだそうな。 しかし、本日は委員会。 つまりわたしを代理にして自分はデートに行く、と。 「勝手なお願いなのは承知なんだけど……」 あの勝ち気なカナが、珍しく申し訳なさげな表情を浮かべる。 はぁ、とため息を吐く。 そのため息にカナは断れたのだと察したようで、みるみる泣きそうな顔になっていく。 それが少し可笑しくて、思わず笑ってしまった。 「あははっ……誰もダメなんて言ってないじゃん。 いいよ、わたし出るからカナは楽しんできなよ」 「弥白……!ありがとおおお!!」 カナの表情は一転して明るくなり、思いっきり抱きついてきた。 「その代わり、駅前のワッフルのお土産期待してるからね」 「もうカナさん何でも弥白に奢っちゃう!本当にありがとー!」 「その言葉忘れないでよ?」 もちろん!と自信満々に言って、わざわざ指切りをした。 カナのこういう所は、子供っぽくて可愛いなと思う。 委員会は放課後なので、それまではいつもと変わらない日常だった。
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