1.秘密

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女の子のおしゃべりというのは、止まることを知らない。 残念ながらわたしは、その楽しさがよく解らない。 多分わたしは、他の人とは少し違うから。 何個目かのチョコマシュマロに手を伸ばしたとき、和花がこちらを見た。 「弥白(やしろ)は好きな人いないの?」 唐突に話を振られ、思わずマシュマロはわたしの口ではなく、足元に転がってゆく。 「弥白?」 「え。あぁ……、」 「やだなぁ~和花。弥白に居るわけないじゃん! 弥白って全然そーゆーの興味ないんだから」 丁度良くカナが割り込んでくれて助かった。 和花は 「そうなのー……?」 と少しむくれて、こちらを見ている。 わたしは、ミルクティーを一口飲み込んでから 「期待に答えられなくてごめんね?」 と軽く笑った。 「和花はともかくとして。 弥白はこの先、彼氏出来るのかねぇ。カナさんは少し心配だよ?」 「まーた自分が彼氏出来たからって。余計なお世話だわー。 ……ちょっとトイレ行ってくるね」 「んー」 わたしは、カナに悪態を吐きつつ、足元のマシュマロを拾い上げてティッシュに包んだ。 途中、それをゴミ箱に放り投げ、教室を出る。 ドアを閉めて二人の声が小さくなってから、大きなため息を吐いた。
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