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こんなことが本当にあるんだろうか。
自分でも信じられない。
ついさっきまで、ただの風景でしかなかったものが、こんなにも鮮明に映るなんて。
偶然?
必然?
運命?
くだらない。そんな使い古した言葉で、この感情を説明する事なんて出来ない。
「君だったんだ」
ただそれだけだ。
土砂降りの雨に濡れて少し震えながら、今にも壊れてしまいそうな後姿を見た時、わかってしまった。
「君だったんだね」
初めての気持ちなのに、迷いなんて無かった。
どうしてそんなに震えているの?
何にそんなに怯えているの?
何が君をそんなに傷つけたの?
守るから。
君を守るから。
ただ君だけを守るから。
だから、泣かないで。
顔を上げて、さあ。
「ごめんね」
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