邂逅

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その日は散々だった。 バイトでつまらないミスを連発して、店長には怒鳴られるし、うるさいお局様には睨まれるし。 おまけに 「梅雨の合間に、久しぶりの晴間が覗きそうです」 なんて天気予報は大ハズレで、信じて傘を持たずに出た私は、帰り道の土砂降りの雨で心も身体もずぶ濡れになってしまった。 道行く人の視線が痛い。 なんで皆傘持ってるんだろう?天気予報を信じたのは私だけ? 「最悪・・・」 ついそんな言葉が口から漏れた。 雨の中で立ちすくんでしまった。 だって、もうあんな酷い事って人生でそう簡単に起こらないよってくらい、あの日の私は参っていた。 前日の出来事。 信じていた人の、一番大切にしていた人達の、最低の裏切り。 男に裏切られ、親友に裏切られて、その上お天気にも裏切られてね。 散々だ、もう十分過ぎるよ・・・。 だからせめて早く家にたどり着きたかったのに。 バイトだって休んでもおかしくないくらい辛かったのに、それでも妙に責任感の強い私は、休まずに行ったんだ、地面を這いつくばるような気持ちで。 涙こらえて必死で仕事を乗り切って、もう私を慰めてくれるのは、家のベッド、布団の中だけのような気がしてた。 だから、一秒でも早く家に帰りたかったのに・・・。 足が動かないや。 どうして・・・。 こんな酷い雨なのに。
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