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「……はぁい。」
「俺、誠だけど、入るわ。」
私が起き上がり、返事をすると、キイッとドアを開けて、誠くんが部屋に入ってくる。やっぱりいつものように少し眉間にシワを寄せて、部屋の中を見回している。
「ガキ臭せぇ部屋。……今時ぬいぐるみベッドに置くのなんて小学生でもやんねぇよ。」
「好きだから良いの!……それで、どうしたの?珍しいよね、誠くんから尋ねて来るなんて。」
フン!と鼻を鳴らして、私のデスクの近くにある椅子に腰を下ろす誠くん。下を向いたり、キョロキョロしたり、ばつが悪いような顔をしたりしていたが、漸く口を開く。
「……本来なら絶対やりたくないけど、お前に頼みがある。」
「頼み?本当に珍しいね、変なもの食べた?」
「茶化すんじゃねぇチビ……!」本気で聞いたつもりだったのだが、冗談に聞こえてしまったようだ。そんなに怒らなくても良いのに。とりあえず「ごめん、それで頼みって何?」と謝ると誠くんは溜め息を吐き出し、こう続ける。
「あー……なんつったら良いのか、その。俺、今度の日曜日久々にネットの奴とオフ会すんだよ。」
「今度の日曜日……明日じゃん。それと私への頼みって何か関係あるの?」
うっ!って顔をして滅茶苦茶気まずそうな顔をして下を向く誠くん。もう……一体何なのよ!と私が言う前に、誠くんが口を開き、話を続ける。
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